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第5回 国際茶道文化協会ツアー「陶磁器のふるさと九州北部を巡る」

日   程 : 2010年6月12日(土) 〜 6月14日(月)
訪 問 地 : 大宰府天満宮、蒲池窯(柳川)、中里太郎衛門美術館、
九州陶磁器文化館、有田陶器の里、
長崎歴史文化博物館、大浦天主堂、グラバー邸、中華街
参加人数 : 22名 (現地参加者含む)



6月12日(土)1日目

10:30 羽田空港から福岡空港着。

3日間ご一緒して下さる溝上さん運転の貸切バスで一路大宰府天満宮へ。
初参加の森宗明先生はじめ、お天気姫様方のパワーで、梅雨の季節なのに日傘をさして参道を歩き、万緑の中、先ずは腹ごしらえの大宰府ランチを頂きました。
その後、天満宮でこのツアーの安全と学習の成果を祈願。



13:30 蒲池窯(柳川)着。

織豊時代から続く土風炉窯を継承されている伊東征隆氏のにこやかなお出迎えを受けて、一同2階の展示室に飾られた土風炉、雲華の灰器、火入れ、花入れ、蓋置き、茶碗などの作品を見せて頂きながら、土風炉完成までの工程の説明を伺いました。
伝統的な土風炉から現代の洋風の部屋にも合う黄や藍色の小ぶりの風炉まで取り揃えてあり、21世紀の先の時代までを考えていらっしゃることを感じました。雲華の灰器の柔らかな茜色と黒のバランスは、土の鉄分と窯焚きの煙の分量で微妙な変容を見せるとのご説明の後、いよいよこのツアーの目玉の一つである作陶にとりかかりました。



14:00 作陶は完成品の種類で三班に分かれました。

一班は、征隆氏があらかじめ成型しておいて下さった灰器や火入れが並べられた大きなテーブルに陣取りました。そのまま磨き作業に入ると“眞”の形の灰器ができあがります。山道に整形してから磨き作業をすると“草”の形の灰器になります。
磨き作業は専用の道具を使い、根気のいる作業でした。


もう一班の茶碗作りはさらに、二手に分かれました。手びねりでの整形はなかなか思うように土が動いてくれませんでしたし、はじめての轆轤回しは、すぐにいびつになってしまいました。


征隆氏の当日の特別のお計らいとして、叩きの技法で花入れに挑戦した人もいました
やってみると聞くとは大違いです。全員汗だくになっていると、征隆氏いわく、
「今日は、チィーと暑かけど、天気を用意しとったで雨よりヨカでしょ。」
暑さもなんのその、の楽しいひと時でした。

作陶の合間には、征隆氏のご自宅広間で淡交会大牟田支部青年部の奇麗どころによるお心づくしの呈茶タイム。向かいの山からの青嵐の爽やかさと共に、坐忘斎お家元お好みの「清風の白」で一服の清涼感を満喫いたしました。 感謝!

伊東氏・淡交会大牟田支部青年部の方たちと共にツアー参加者一同


17:30 九州の名湯、嬉野温泉『和多屋別荘』着。

つるつる美肌になるという湯を頂き、肥前料理に舌鼓みを打ちました。千鳥の杯のお稽古も?!



6月13日(日)2日目

8:15 梅雨しとどの中、和多屋別荘を出発。

運転手さんには「今日は100%雨」を保証されましたが、バスで北上する間に雨が止み、晴れ間が覗きました。
9:45 中里太郎衛門美術館着。

400年の歴史を持つ唐津焼の御用窯の古唐津や絵唐津を見学し、ビデオでは神が宿る登り窯、叩きの技法、急所の口作りを見ました。



10:20 三玄釜へ。

展示室で、作品の他、400年前、出土した古唐津の片々を見学し、中里重利先生のお話を伺いました。朝鮮半島から井戸茶碗として入ってきた雑器が、その後、秀吉の時代に北九州に移住した職人たちの技法から茶陶へと発展していく歴史をお聞きしました。
「古唐津と唐津の違いは、言葉で言い表せないが、雰囲気が違い、匂いがあり、懐が深く、潔い。麦飯と白米の差。窯の炎の走り方(酸化還元)で、焼き物の色合いが微妙に違い、裏棚で焼かれたものは生が多く、土見せをする唐津としての味わいが出てくる。」
とゆっくりしたテンポでお話し下さった先生のお話が印象的でした。



12:00 有田着。

ご実家が有田の英語茶道教室受講生大口さんのご紹介のレストランで、昼食。見事な有田焼の陶箱に入った豪華なランチと「古伊万里」という地酒が”有田”を満喫する手始めとなりました。



12:50〜 陶磁器の里『有田』を満喫。

九州陶磁文化館で、九州の陶磁、蒲原コレクション(輸出伊万里)と柴田コレクション(江戸時代の有田磁器)を館長さんと学芸員さんが説明してくださいました。見学中は二班に分かれて、一班ずつ大口さんのご実家の南さん(UIA会員)宅で呈茶のおもてなしを受けました。




ボランティアガイドの南さん(大口さんの父上)のご案内で美しいトンバイ塀に囲まれた辻常陸窯(禁裏御用窯)、今右衛門古陶磁美術館(色鍋島、古伊万里)、柿右衛門美術館(赤絵)などなどを見学。
ゆったりと時間が流れるはずの陶磁器の里を、茶人にあるまじき駆け足で巡り歩きました。南さんご一家のお心遣いに感謝いたします。


 辻常陸窯 今右衛門窯


柿右衛門窯


18:15 長崎の高台の宿『矢太楼南館』着。

長崎名物の入った夕食をおいしくいただきました。



6月14日(月) 3日目

バケツをひっくり返したような雨音で目覚めました。しかし、朝食が済み、チェックアウトの頃には、「長崎は今日も晴れ!」となりました。パワーフルお天気姫たち!!

9:15〜 長崎市内観光(オプショナルツアー)

長崎歴史文化博物館では、龍馬と岩崎矢太郎のお出迎えを受け、近世の「海外交流史」展も見学。独自の歴史をもつ長崎の息吹を感じました。

その後、大浦天主堂、グラバー邸をぶらぶらと歩き、中華街でランチ後、長崎空港へ。
安全運転で旅を楽しませてくださった運転手の溝上さん、3日間ありがとうございました。
17時過ぎ、無事羽田空港着。



日本の陶磁器の原点の肥前の窯々を巡り、400年の歴史をもつ焼き物たちに出会い、そしてその歴史を受け継いでこられた名匠のお話をお聞きし、また現代に生きていく新しい作品にも出会い、感慨深い一期一会の旅となりました。
蒲池窯で伊東先生に「僕も疲れました。」と言わしめた私たちの力作が、どんな形や色になって届くかも楽しみの一つです。
今回のたくさんの学びをこれからの茶道修行に生かし、器の声や匂いを少しでも味わえるようになりたいと感じました。
第5回という区切りのツアーにふさわしく、20名を超える参加者で、企画・引率いただいた阿蘇先生、アシスタントの布山さんには大変お世話になり、ご苦労をお掛け致しました。
ご参加の皆々さま、本当に楽しい旅をありがとうございました。
また、次の機会にどこかでお目にかかれますように。

報告記録者  久冨木 文子(英語茶道教室受講生)
写真提供  川口 陽子、布山季里、嶋田 君枝

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