開催にあたって
様々な人や物や事に出合った事で、まがりなりにも私の人生が出来上がって来たようです。
学生時代に見たヨーロッパのデザインブックはキラキラと輝いていて想像力を大きく膨らませてくれましたし、大学を卒業して訪ねた北欧やイタリアのデザインスタジオの数々は、今思い出しても楽しく刺激的で、その後の人生を決めたようです。
そして田中一光先生との出会いと思い出です。先生が亡くなられるまでの三十有余年に先生が語られた日本の美しさ、日本の造形の素晴らしさは、目からうろこが落ちる様に心に染みています。
私は今、世界中でデザインという仕事を行っています。デザインという仕事は、私が受けた感動を語る事が出発点になりますが、そうした価値感を絶えず意識して揺さぶる、或いは、研ぎあげる事が必要になります。私が語るのは、私の見つけた日本なのです。
お茶の世界には、そうした刺激が無数に堆積しています。この刺激は私達の心にいつの間にか棲み付きます。そして更に次の刺激を求めます。そうした一端を共有する事は格別です。まさに現代という混沌の時代での至福といってもいいのかも知れません。
お茶の伝統の中に存在する大宇宙は事の外として、浅学な私の今の日常にあるお茶だからこそ、私の今感じている現代をも感じて頂ければ幸いです。
(杉本 貴志氏 記) |